ユノアクルスにセーラーを買う
3月。何年ぶり…?というくらい久しぶりにドールショップの実店舗で買い物をした。
最近はオビツ11サイズにハマっていたこともあり、ドール関連の買い物といえばイベントやディーラーさんの通販がメインだった。しかし、今回はできれば実店舗で買いたかった。
なぜなら、今回最大の目的は「ユノアクルス少女サイズのセーラー服を手に入れること」だから。
ユノアクルス少女(以下ユノア)は錬金術工房が製造するキャストドールで、大まかに言えば1/4サイズに分類される。
しかし、「1/4サイズ」というのはあくまでドール全体の大きさ(身長)の話なので、一口に「1/4サイズのドール」といっても、頭身のバランスはドールによってかなり異なる。
日本でいま最も知名度が高くオーナーも多い1/4ドールといえば、ボークスのMDD(ミニドルフィードリーム)だろう。
ドールショップの商品画像でも、1/4サイズのアウトフィットはMDDがモデルをしていることが多い気がする。
MDDはかなり頭が大きく、いわゆるアニメキャラのようにデフォルメされたバランスのドールだ。
それに対し、ユノアは頭が小さく、よりリアルな人間に近いプロポーションをしている。MDDと並べてみても、同じ1/4で括るのは無理があると感じるほどだ。
それでも、「1/4サイズ」「1/3サイズ」といったざっくりとした分類しかないドール服の世界では、ユノアはMDDと服を共有することになってしまう。
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10年ほど前、ユノアのメイクカスタムをフォロワーさんに依頼した際、その方が手持ちのセーラー服をユノアに着せて写真を送ってくれた、ということがあった。
その姿は、私が「ユノアクルス少女」というドールに抱くイメージにあまりにもぴったりで、ずっと「いつかセーラー服を買ってあげたい」と思っていた。

フォロワーさんがくれた写真

フォロワーさんがくれた写真

フォロワーさんがくれた写真
私は自分のユノアに「千鶴」と名前を付けている。イメージは京極夏彦作品に出てくるような昭和の黒髪美少女女学生だ。
黒色のセーラー服に白い襟のライン、赤いスカーフはその設定にとてもしっくりくる。
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2月に断捨離と称してドールを整理した際、手元に残った子たちをより可愛がろうという気持ちが湧いた。
ボサボサになっているウィッグや、加水分解してしまった靴を買い替えた。
そして、着たきりすずめになっているユノアには服を新調しようと思った。
ユノアに服を買うなら、やはりセーラー服がいい。
そう思って最初はネットで探してみたのだけれど、意外と理想的なデザインが見つからなかった。
VTuberやサブカル系の子が着ていそうなポップでデコラティブなもの、もしくはおしゃれな私立校っぽいデザインのセーラー服ならたくさん見つかったけれど、本物の制服のような(すこし野暮ったいくらいの)ベーシックなセーラー服というのがほとんど無いのだ。
黒か紺で、ラインが白で、リボンではなくスカーフがいい、と条件をつけると、選択肢はかなり少ない。
結局、私が見つけられたのは4種類だけだった。
一つは某ドール用品専門通販サイトのもの。
配色は理想通りだけれど、スカートが短すぎるのと、襟のラインが太く大味な印象を受けた。
商品写真のモデルがMDDだったので「ユノアには大きいんじゃないか?」という懸念もあった。
次に某ディーラーさんのもの。
完璧に理想通りだったのだけれど、東京のイベントにしか出店されていないようだった。
残念だが、関西在住の自分には入手困難。
Amazonのマーケットプレイスで販売されていたもの。
マーケットプレイスね〜…。
写真通りの物が届けばかなり理想に近いのだが、粗悪な物が届くのではという不安が捨てきれなかった。
そして、最後に残ったのがカカプラネットで取り扱っているセーラー服だった。
デザインはかなり妥協することになるが、なにより実店舗に行けば試着させてもらえるというのは大きい。
とりあえずこのセーラー服を試してみて、どうしてもダメならそれはその時また考えよう、と思った。
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結論を言うと、ネットで見ていてある程度購入を決めていたセーラー服はだめだった。
ユノアに試着させたところ一目で「ああ、これは…」となり、ドール服の難しさを痛感した。
そのセーラー服は襟が大きめのデザインで、MDDなどの頭が大きいドールなら可愛く着こなせただろう。
しかし、ユノアには似合わなかった。ボディに対するサイズは合っているはずなのに、頭の大きさと服のバランスが合わず、服に着られている印象になってしまうのだ。
「これはやめておきます」と伝えると、セーラー服を探しているのだなと察してくれた店員さんが別のセーラー服を持ってきてくれた。
グレーにピンクのライン、スカーフではなくリボン…と、かなり理想とは違っていたが、試しに着せてみるとこれが大変ユノアに似合った。
昭和の女学生というイメージにはそぐわないものの、スカート丈も膝下で上品な印象だ。これはこれで悪くないのではと思う。
少し悩んで、結局グレーのセーラー服を購入した。

グレーのセーラー服を着た千鶴
こうして、10年間ずっとなんとなく心の片隅にあった「ユノアにセーラー服を買いたい」という思いがようやく昇華された。
とはいえ、本当に本当の理想のセーラー服を求める気持ちも、まだ完全には捨てきれていない。
ユノアが手元にいる限り、理想のセーラー服を探し続けることになるのだろう。