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2017-01-30

ずばりこのよるcafeに行った話

 私の中ではなんであのとき放送局内・デストロイラジオのエンディングテーマ「ドラマティックブルー」でおなじみのボーカリスト SASAYAMA.さん私の大好きなカフェ(と言っても遠いので二回しか行ったことがない)でライブを!という告知があった直後、なんあのリスナーでありSASAYAMA.さんのファンでもあるガキヲさんに「一緒に行きませんか?」誘われ、SASAYAMA.さんのライブが見れてガキヲさんに会えてカフェにも行けるなんて一石三鳥じゃないですか!と久しぶりに名古屋まで行ってまいりました。

 1月24日、新幹線で日帰りを決めていた私が家を出ると、外は薄っすらと雪を被っていました。しかしそれも新神戸駅に着く頃にはすっかりなくなって、予定通りの新幹線に乗車。新幹線で新神戸から名古屋へは一時間程度です。私は普段の通勤に一時間強かかっているので、新幹線に乗ればたったそれだけの時間で名古屋に行けてしまうということに、何度も行ったことがあるにもかかわらず、いまだ感心してしまいます。大学生の頃はよく夜行バスで遠出していました。とても時間がかかるため、旅をしている感覚が強く、日常と非日常の境目をはっきり分けていました。新幹線や飛行機は、その境目を曖昧にしますね。

 新幹線は積雪の影響で少し遅れていました。新神戸、新大阪、京都まではそんな様子もなかったので、到着が遅れるというアナウンスに対して半信半疑だったのですが、京都を過ぎたあたりからは、窓の外が別世界のように真っ白でした。畑も家も山も全部が雪に埋もれていて、何が何なのかよくわからないほど。結局、約20分遅れで名古屋に到着しました。

 名古屋駅でガキヲさんと合流し、初対面にも関わらず私の希望に付き合ってもらい、まずは名駅近くのピエール・マルコリーニへ行きました。名古屋名物でもないのに何故…?と思われるかもしれませんが、ピエール・マルコリーニの店舗は、日本だと銀座、羽田、東京駅、横浜、渋谷、新宿と名古屋にしかないのです。クール エ ギモーブとカカオ グラン クリュを購入し、味噌カツを食べに大須へと移動しました。


 ガキヲさんおすすめのすゞ家でロースカツ定食を頂きました。味噌カツは初めて食べたのですが、とてもおいしかったです。


 食後のお散歩がてら大須観音へお参りに行ったり、テレビ塔に上ったりしました。ガキヲさんははじめ、東山動物園に行こうと考えていてくださったらしいのですが、お昼を食べた後お店の外に出ると雪がちらついていたので、動物園はやめておいてよかったね、と笑いました。


 テレビ塔で地上90メートルの視界をたっぷり堪能した後はメインであるなんであのときcafeです。

 リハーサル中らしいマスターの歌声が外まで漏れ聞こえていたので、まだまだかかるのかな?と思ったのですが、程なくして店内に入ることができました。

 8月に行った時にはあったカウンターが無くなって、ライブスペースのようになっています。席は限定9席。SASAYAMA.さんを目の前にできる席が3席あり、そこはまさに特等席です。店内に入ったもののどこに座ればいいんだろう、迷っていると、マスターが「じゃあ僕とじゃんけんをして、勝った人から好きな席に座ることにしましょう」と言いました。まさかの席決めじゃんけん。斬新です。

 店内の照明が一部落とされ、ほぼ予定通りにライブが始まります。

 音楽のことを何も知らない私がライブについて言うと、ただの野暮になったしまうので、あまり書きたくないのですが、後半(と言うより終盤)のセットリスト―『告白』『ハナミズキ(カバー)』『あのとき』『負けないで(カバー)』『ドラマティックブルー』―にとてもテンションが上がりました。アヤコーホーさん(マスターのお母さま)のために歌われた『ハナミズキ』、なんであのときcafeでライブをするにあたって書き下ろされた『あのとき』。なぜか私が泣きそうでした。(『あのとき』初披露の様子がYouTubeにアップされています。こちらからどうぞ)

「すばりこのよるcafe」は本当に楽しく、胸を張っておすすめできるライブです。なんであのときcafe(あるいはマスター)のファンと、SASAYAMA.さんのファンがすごくいい感じに混ざりあっていて、どちらもがアウェーにならない不思議な空間でした。

 私は特に「なんあのを聞いているのでSASAYAMA.さんというアーティストを知ってはいるが、ライブは敷居が高い」と思っているなんあのリスナーさんにおすすめしたいです。1回目であれだけ楽しかったのだから、2回目、3回目はもっともっと楽しくなるのではないでしょうか。おいしいごはんとドリンク付きで4,500円はちっとも高くないと思います。


 ライブはツイキャスで生配信されており、そのアーカイブを後日聞くこともできたのですが、私はそれを聞いて、当たり前のことではありますが、やっぱり生とは迫力が全然違うんだな、と思いました。スケジュールの都合、お金の都合、いろいろな理由があって、ライブ会場に足を運べない人はたくさんいると思いますし、ツイキャスの生配信は素敵なことだと思います。あの場所にはお客さんが9人しかいなかったけど、あの楽しい時間をこんなにもたくさんの人が知っていてくれているというのは、ただのいちお客さんでしかない私としても、とても嬉しい。

 だから行けない人を非難するつもりは全くなく、ただ出不精になりがちな自分への自戒を込めて書くのですが、やっぱり生はすごくて、想像していた以上の何かを受け取れる気がして、そういうのは大切だなと思いました。※写真は顔面フリー素材ことなんであのときcafeのマスターです。


 予定になかった(らしい)アンコールにも応えてくださり、ラストの曲は『シング』でした。ライブ終了後、余韻に浸りながらみんなで会話を楽しみました。帰りたくなかったのはライブが楽しかったからですし、なんであのときcafeの居心地の良さのせいでもありますね。

 レジの前においてある募金箱にお金を入れると、カウンターの中で煙草を吸っていたSASAYAMA.さんが、レジをピーと鳴らしてくれました(エラー音)。


 にがおえイベントでにがおえ師をやったというマスターに、無理を言ってにがおえを描いてもらいました。お値段はなんと50円です。描いている最中、アヤコーホーさんが手元をのぞき込んで「ふんわりかわいいじゃん。30円くらいかな」と仰ったのがとても面白かったです。マスターは「今日はベレー帽がないから実力が出し切れない」と言い訳をしていました。

 マスターはカウンターを壊してからというもの、そのスペースでラジオごっこをするのがマイブームのようで、私もブースに座ってゲスト役をさせてもらったのですが「今日のゲストはなんと!伊織さんです!伊織さんはイラストレーターとしても活躍しており「ジンきとぽてこの、話せばわかる」のアートワークも描いておられます!この中で「ジンぽて」をご存知の方ー!」などとずっと一人で喋っていたので、私が口を挟む隙はありませんでした。

 マスターはツイッターを見ない、ハッシュタグをつけても見てくれない、DMを送っても返事が微妙、でもエゴサはしてるっぽいでお馴染みなので、このブログも当然見ているはずがなく「伊織さんはブログもやってます!えー、タイトルはー、ね!なんでしたっけ!」。だったら私に話を振ってくれよ、思いましたが口にはしませんでした。

 そうこうしているうちに新幹線の時間が迫ってきたのでガキヲさんと一緒にカフェを出ました。「楽しかったね」と何度も言いながら名古屋駅へ向かい、同じ時間に出発する新幹線を待つため、待合室に入りました。別れる瞬間まで話は尽きず、去りがたい気持ちでいっぱいでした。

 時計を見ると、あと数分で新幹線が来てしまいます。立ち上がり待合室を出ると、ガキヲさんが「あ!」立ち止まりました。「えっ」声に驚いて顔を上げると、そこにはなんとSASAYAMA.さんとゆうかさんが。予想していなかったタイミングでの再会に驚きつつ、新幹線が来るまであと数分しかありません。慌てながら楽しかったですと伝えると、SASAYAMA.さんは「またよかったら神戸のライブにも」と笑い、それから思い出したように付け加えました。「ブログ見てます」。

 その時の私の気持ちを、どう表現したらいいのでしょうか。ライブを見て「すごい人だ」と改めて思った直後です。(そして、マスターが見てくれていないことを改めて知った後でもあります。)汗が吹き出し、新幹線で席に着いた後も落ち着かず、しばらくの間そわそわしてしまいました。

 マスターはライブの最中「今死んでも後悔しないくらい楽しい」と言っていました。お客さんとして来ていた「妄想旅ラジオ」のたまさんは「このままここで眠りたい」と言っていました。私は「今日この一日が終わってほしくないからずっと起きていたい」と思っていました。

 本当に楽しい一日をありがとうございました。